高齢になって一人暮らしをしている方の中には、「もしものときに頼れる人がいない」

「自分の死後、家の片づけや葬儀はどうなるのか」といった不安を抱える人が少なくありません。

 

「おひとりさまの終活」とは、人生の終末に向けて、本人が自分の意思で準備しておく生前準備のことであり、現在の不安を解消することに役立つものだといえます。

 

ここでは、おひとりさまがやっておくべき終活の内容について説明していきます

 

終活とは

終活」とは、人生の最期を迎える前に自分の希望や想いを整理し、残された人への負担を減らすための生前準備のことをいいます。もともとは、葬儀やお墓などをどうするか決めておくことが主な目的になっていましたが、昨今では以下に挙げるような幅広い生前準備が含まれています。

【終活の目的】

  • 自分の希望通りに最期を迎えるための準備
  • 死後の手続きをスムーズにするための準備
  • 財産や持ち物の管理・整理のための準備
  • 介護や医療、葬儀の意思を明確にしておくための準備
  • 遺された人に迷惑をかけないための準備

 

では、身寄りがない方や家族・親族から疎遠になっている「おひとりさま」はどうすればいいのでしょうか。自分の介護が必要になったときや自分が死亡したときに備えて、元気なうちから「終活」として将来設計を立てておくことが肝心だと考えられます

 

おひとりさまが終活でやるべき生前準備

おひとりさまが安心して最期を迎えるために必要な生前準備は、いくつかのカテゴリに分けることができます。それぞれについて整理していきましょう。

 

1)財産・契約の整理

預貯金や保険、年金、株式などの資産をリスト化したり、借入・ローン、クレジットカードなどの負債がいくらあるかも整理したりしておきます。ネット銀行・電子マネー・サブスクの利用がある場合は、解約に必要な情報を書き出しておくことも必要です。

 

2)身の回りの整理

持ち物や家財道具の整理について考えておきます。不用品の処分や残しておきたいものの整理など、いわゆる断捨離を日頃から薦めておくことも大切です。また、スマートフォンやパソコンなどを利用している場合は、デジタル遺品の解約・処分に必要な情報も書き出しておきましょう。

 

3)介護・医療の意思表示

おひとりさまは、自分の体の自由が効かなくなったときや認知症などになったとき、助けてくれる家族・親族がいない状況にあります。

 

そこで、元気なうちから高齢者向け施設を選んだり、終末医療を受ける際の意思表示を明確にしておいたりすることが求められます

 

また、任意後見制度を利用し、自分の判断能力が著しく低下した場合の財産管理について任せることも必要です。

 

4)葬儀・お墓・遺骨のこと

自分が亡くなったときはどのような葬儀を執り行って欲しいか、誰を呼んで欲しいか、どこに納骨して欲しいか、といった希望も明らかにしておきましょう。

 

ただし、おひとりさまの場合は死後の葬送支援を依頼できる人物がいないことから、身元保証や葬送支援の専門家と死後事務委任契約(死後に発生するさまざまな事務手続きを委託できる契約)を締結しておくことも検討したいところです

 

5)遺言書・エンディングノートの作成

これら終活の内容を周囲の人に伝えられるよう、遺言書やエンディングノートを作成しておくことをお勧めします。

 

相続人がいない場合の財産の行き先を指定したり、お世話になった人への感謝の気持ちを書き残したりしておくと、死後事務がスムーズになることが期待できます。

※エンディングノートに法的効力はない点に注意しましょう。

 

身元保証サービスの利用について

おひとりさまの課題の1つは、入院時や施設入居時に求められる身元保証人を用意できない点にあるといえます。

 

そこで検討したいのが身元保証サービスの利用です。民間企業やNPO、一般社団法人などが提供する同サービスにより、身元保証人としての役割を依頼することができます。

 

身元保証サービスを利用した場合、緊急連絡先・入院費や施設利用料の支払い実行といった役割だけではなく、後述する葬送支援や遺言書に基づく相続手続き支援なども任せることができるので、検討の対象に入れておくといいでしょう。

 

おひとりさまが直面しやすい3つの不安とその対策

独り身だからこそ陥りやすい不安もあります。具体例とその対策について整理していきましょう。

 

【不安①】自分の判断能力が衰えたら誰が手続きをするのか

任意後見契約を公正証書で作成しておくことで、信頼できる人に財産管理や生活支援を任せることができます。

 

【不安②】死後、葬儀や遺品整理をしてくれる人がいない

死後事務委任契約を結んでおけば、信頼できる専門家(行政書士・弁護士など)に、死亡届・葬儀・家の解約・納骨などを依頼できます。

 

【不安③】相続人がいない場合、財産はどうなる?

遺言書で受取人を指定しなければ、財産は国庫に帰属します。信頼できる団体や人物への遺贈も可能です。

 

札幌市による対応

何ら準備もなく死を迎え、遺体を引き取る親族などもいない場合は、行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき、行政が遺体引き取りから火葬までを行うこととなっています。ただし、行政が行うのはあくまでも最低限必要とされる事柄のみです。

 

札幌市の場合は、遺骨を一定期間保管しますが、引き取り手が現れなければ、市営の平岸霊園合同納骨塚に無縁仏として納骨します。

 

まとめ

おひとりさまを貫くのであれば、生前・死後ともに自分を支援してくれる存在を確保しておくことがとても大切だといえます。たとえば身元保証サービスを利用した場合、生前には身元保証人代行や財産管理など生きていくうえで必要な支援を受けることができ、死後には葬儀や納骨、遺品整理といった葬送支援を受けることが可能です。

 

老後や死後について不安を抱えている場合は、年齢に関わらず早めに対策を講じておくと安心して過ごすことができるでしょう。当行政書士法人は、身元保証サービスを手掛ける「いきいきライフ協会札幌」の法律支援を担っており、代表行政書士は上級身元保証相談士でもありますので、ご不明な点などがありましたらぜひ無料相談をご利用ください。

 

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