おひとりさまでも相続に関してはしっかりとした準備が必要です。生前準備や遺言書作成、身元保証サポートの利用などにより、おひとりさまの相続をより安心できるものにしましょう。
ここでは、おひとりさまの相続についてどのような備えをしておくべきか、遺言書や身元保証サポートがどのように役立つか説明していきます。
遺産相続とは
遺産相続とは、亡くなった人の財産(不動産、預金、貴金属など)や負債を法的に引き継ぐ手続きのことを指します。被相続人の遺産は通常相続人が引き継ぎますが、おひとりさまで相続人がいない場合、問題が発生することもあります。
おひとりさまで相続人がいない場合
おひとりさまにとって重要なのは、「相続人がいない場合、自分の財産はどうなるのか?」ということでしょう。配偶者も子どももいない場合、法定相続人が存在しないことになり、遺産は国庫に帰属することになります。これを避けるためには、適切な事前準備が必要です。
相続人がいない場合、遺言書を活用して遺産の行き先を指定することができます。例えば、友人や慈善団体に財産を遺すことも可能です。
法定相続人がいない場合でも、自分が望む形で遺産を分けるためには、遺言書をきちんと作成しておくことが非常に重要です。
おひとりさまが不動産を所有している場合
おひとりさまが不動産を所有している場合、元気なうちに対策しておくことが必要です。相続人がいない場合、不動産を継ぐ者がいなければ国庫に帰することになるので、できるだけ生前に不動産を売却しておくことが望ましいといえるでしょう。
おひとりさまの相続準備のポイント
おひとりさまは、相続人がいない場合に備えて、以下のような準備をしておくことが重要です。
遺言書を作成する
公正証書遺言を作成することで、財産の行き先を明確に指定することができます。
遺言書の種類
遺言書のうち代表的な2つの形式についてしっておきましょう。
- 【自筆証書遺言】
自分で書いた遺言書ですが、法的効力を持たせるためには、必ず署名と押印が必要です。また、証人を立てることで、さらに効力が強まります。
- 【公正証書遺言】
公証人が作成する遺言書で、法的に非常に強い効力を持ちます。遺言者が自ら公証人の前で意志を示し、公正証書として作成されるため、後々のトラブルを避けやすいです。
遺言書に記載すべき内容
遺言書には、自分が望む遺産分割や遺贈先(家族、友人、慈善団体など)について明記しておくことが重要です。また、財産の名義変更や管理方法も明確に書き留めておくと、後の手続きがスムーズに進みます。
身元保証人を立てる
入院や介護施設に入る際に必要となる身元保証人を決めておくことが重要です。身元保証人がいないと、施設に入れないこともあります。身元保証人が遺言執行者を兼務している場合は、遺産に係る手続きを任せることも可能です。
財産状況を整理する
自分の財産を整理し、必要な契約や支払いを整理しておくことも重要です。定期的に財産の状況を見直し、必要な手続きをしておきましょう。身元保証人がおり入院や施設入居している場合は、身元保証人に財産管理を依頼できるので安心です。
身元保証人を遺言執行者に指名した相続手続き
身元保証人は、本人の死亡後に本人の相続人へ財産の引継ぎ事務などを行うこともあります。また、身元保証人が本人の遺言執行者を兼務して、身元保証人が手続きを行うこともあります。以下、相続手続きの流れを身元保証人も頭に入れておくとよいでしょう。
【1】相続人の確認
被相続人の法定相続人が誰なのか、本人からのヒアリングに加え、実際に被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍を取得して確認することが必要です。実際の相続手続きにこの戸籍謄本が必要になります。
身元保証人が被相続人の財産を管理していた場合、相続人の確認結果にもとづいて、預かっている財産の引継ぎを行うことになります。
【2】相続財産の調査
預貯金や株式、不動産などのプラスの財産の他、借金などのマイナスの財産も調査します。身元保証人が本人の遺言によって遺言執行者に選任されていた場合は、遺言執行者の権限に基づき相続財産の調査を行うことができます。
【3】相続方法の確認と財産引き渡し
身元保証人は【1】で相続人の確認を行った後、相続人に対して相続方法の仕方を確認することになります。
- 単純承認するか
- 限定承認するか
- 相続を放棄するか など
相続人が複数いる場合は、相続人から遺産分割協議書をもらうなどして、身元保証人が預かっている相続財産を誰にどのように引き渡すべきかを判断し実行します。
相続人から遺産分割協議書の提出を受ける際は、協議書に相続人の実印を押印してもらい、同時に印鑑証明書の写しなども提供してもらいましょう。
【4】相続財産の名義変更など
身元保証人が遺言執行者に定められている場合は、遺言執行者として相続財産の名義変更事務や預貯金の解約処理なども行います。
【5】相続税の申告
相続財産が多額で相続税の申告が必要な場合は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に手続きを済ませるよう注意しましょう。
相続人に対しても、相続税申告手続きには期限があることを速やかに連絡します。
まとめ
おひとりさまでも、相続についてしっかりと準備をしておくことは非常に重要です。遺産相続に関して不安を感じている方は、遺言書の作成や相続人不在時の対応策を考えておきましょう。法定相続人がいない場合でも、遺言書を用意しておけば、遺産が国に帰属することを防げる場合があります。
行政書士法人ドラゴンオフィスは、身元保証サービスを提供する「いきいきライフ協会札幌」の法律支援を行っていますので、おひとりさまの相続に関するさまざまなお悩みへの助言やご依頼のお引き受けが可能です。ご不安・お困りのことがありましたら、ぜひ無料相談をご利用ください。









