介護施設や病院が身元保証人を立てさせる理由

多くの病院や介護施設が身元保証人を求めているのは何故なのか、次のようなことが理由として考えられています。

① 入院費・施設利用料の確実な支払い

病院の未収入金は莫大な額です。厚生労働省の報告書によると、平成19年の国立病院機構、東京都立病院において1年間で約41億円となっています。医師会の調査においては、1診療所あたり15~16万円となっています。

 

介護施設でも、滞納している方がいらっしゃり、職員は督促や話し合い、または法的手段をとるかといった対応をしている施設があります。介護施設職員は、施設費の回収努力していますが、なかなか支払いに応じていただけないことも多いのが現実のようです。

 

このような場合に、身元保証人がいればその支払いの人的担保を確保できるため、未払いの問題を解決することができます。

 

② 医療行為やケアプランの同意

手術を受ける時や入院治療が必要な時、病院から入院・診療計画書の同意書を求められます。介護保険を使う場合においても、介護計画書(ケアプラン)が作成され、それに同意することが求められます。

 

お元気な方であれば問題ありませんが、意識がない、認知症を発症しており判断能力が低下しているなどの理由で正常な判断ができなければ、プランに同意できません。治療やサービスが滞り、本人に不利益を与える結果になることも考えられます。

 

この場合においても、身元保証人がいることによって、その同意を得ることができ、病院や施設側が抱える問題の解決の一助になるのです。

 

③ 本人の日常的な生活支援、退院・転院・転居に関すること

緊急搬送されて入院した病院から退院する場合に、お元気になられて入院前の状態で退院できればいいのですが、そうでない場合があります。例えば、高齢者の場合、転倒して骨折し入院したら、そのまま寝たきりになってしまった。そこまでいかなくても、車いすの生活になってしまうケースもあります。

 

また、本人に介護してくれる方がいなく、おひとり暮らしの場合も、病院側としては本人が元気になり退院を促す際にも困ることになります。退院後、リハビリが必要な場合は介護施設やリハビリ専門の病院へ転院することもよくありますが、身寄りがいない方が転院するとなると、病室に残ったものは誰が持って行ってくれるでしょうか。また、転院先の病院や施設で必要となる物品の準備は誰がするのかといった問題が生じてきます。

 

このような時にも身元保証人によって、退院の手続きを支援してもらったり、次の病院や施設の選定にあたり身元保証人の存在が重要になったりします。

 

④ お亡くなりになった時の遺体引き取りや葬儀の手配

身寄りのいない方がお亡くなりになった時、遺体・遺品の引き取りや葬儀等をどうするかといった問題が起きます。ひと言に「身寄りがいない」といっても、親族はいるが疎遠であるだけの場合もあります。その場合、遺品等の処分は相続人に権利があるため、勝手に処分することはできません。相続人がない場合においても、物の処分は相続財産管理人の選任をしたうえでなければできません。

 

相続人がいない、親族がいない、または親族が遺体の引き取りを拒否している方がお亡くなりになった場合、葬儀等の執行は行政がおこないます。そのため、病院や施設は、迅速な治療やサービスを提供するために入院・入所前に行政と連携をとる必要性がでてきます。

 

施設や病院は、このようなことに備え、身元保証人による遺体の引き取り、葬儀の手配などをしてもらうため、施設入居・病院入院の際に身元保証人を立てることを要求していると言えます。

 

成年後見人・任意後見人がいるだけでは足りない

中には成年後見人を選任されている方もいます。しかし、成年後見人は介護計画書の同意はできますが、治療方針の判断をすることができません。また、入院費や施設利用料の支払いをしますが、あくまでも本人の財産の限りにおいて保証するだけです。

 

そして、亡くなった時は遺体の引き取りや葬儀を行うことはできません。このようなトラブルを事前に回避しスムーズな治療やサービス提供につなぐために、身元保証人を求める病院や施設が多いのです。

 

施設には待機している利用者が多くいらっしゃり、職員は少しでも多くの方がサービスを適切に受けられるように調整しています。専門外のことに時間と労力が奪われるだけではなく、サービスを求めている方にスムーズなサービス調整が行えなくなることが考えられます。

 

それだけではなく、やはり患者様や利用者様ご本人が、安心して治療やサービスを受けられる体制を整えたいという事が、病院や施設側が身元保証人をもとめる理由ともいえるでしょう。

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