身元保証に関する法律について知っておきましょう
病院に入院する際や施設に入居するときなどに「保証人」が求められます。施設によっては、「身元引受人」や「身元保証人」などと記載しているところもあります。
入院の申込書や施設入居時の重要事項契約書などには、民法の改正により令和2年4月1日より、支払いに関する極度額の提示をしていますが、その他の保証内容について、個別具体的な保証内容がはっきりしないこともあります。
「身元保証人」とはどんなことをどの程度保証する人なのでしょうか。
そもそも、「身元保証に関する法律」は昭和初期に制定されたもので、現在の時代背景に適応しない部分が多くあります。また、それは就職時の身元保証の意味合いが強いものになっており、病院や施設で求めている「身元保証人」とはかけ離れていると言えます。
法律上、「保証人」「連帯保証人」「身元引受人」という言葉はそれぞれ次のように定義されています。
1.保証人(民法446・452・453条)
債務者が債務を履行しない時にその履行の責任を負う。ただし、保証人はまず債務者に請求することが求めることができる(催告の抗弁)。また、債務者に弁済するだけの資力があり、執行が容易であると証明したときは、債務者の財産から弁済をする(検索の抗弁)。
2.連帯保証人(民法454条)
債務者が債務を履行しない時にその履行の責任を追う。ただし、保証人とは異なり、催告の抗弁および、検索の抗弁はないため、保証人より責任が重い。
3.身元引受人(身元保証に関する法律第2条)
この内容から共通していることは、債務や損害の保証です。債務とは、治療費や利用料の支払いをする義務をいいます。損害の保証は、その人が故意に何かを壊してしまったり、他人を傷つけてしまった時などに賠償をする、または修復することをいいます。つまり、それらは「お金」で解決できる内容になっています。
しかし、病院や施設が求めている「身元保証人」は金銭的なことに限りません。治療やサービス計画書の同意、退所時の居室整理、緊急時の連絡先、そしてお亡くなりになった時のご遺体の引き取りや遺品の回収などです。
これらの違いを意識しておくとよいでしょう。現法における「身元保証人」「保証人」「連帯保証人」「身元引受人」は似ているので注意が必要です。