いわゆる「おひとりさま」の老後・死後に向けた準備活動として、「終活」を行う人が増えてきました。ここでは、おひとりさまがやっておくべき終活の内容について説明していきます。
老後や死後に備えるための「終活」
自分の老後や死後のことは多くの人が心配するところですが、身寄りがない方や家族・親族から疎遠になっている「おひとりさま」はどうすればいいのでしょうか。自分の介護が必要になったときや自分が死亡したときに支援してくれる存在がいない場合に備えて、元気なうちから「終活」として将来設計を立てておくことが肝心だと考えられます。
具体的には、次に挙げるような事柄への対策を講じておくことが求められます。
- 介護支援
- 財産管理
- 身辺整理
- 葬儀・納骨
- 相続 など
また、これらの事柄を実行してくれる確かな存在を見つけておくことも重要です。
もし、何ら準備もなく死を迎え、遺体を引き取る親族などもいない場合は、行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき、行政が遺体引き取りから火葬までを行うこととなっています。ただし、行政が行うのはあくまでも最低限必要とされる事柄のみです。また、札幌市の場合は、遺骨を一定期間保管しますが、引き取り手が現れなければ、市営の平岸霊園合同納骨塚に無縁仏として納骨します。
財産についても考えておかなくてはなりません。遺体の引き取り手や相続人がいない場合は、民法に基づき遺産は国庫に帰することになるからです。
自分の希望する形での財産管理、葬儀や納骨、遺産の分配などを実現するためには、きちんと終活を行い、生前・死後に関する支援を信頼できる第三者に依頼しておくことも必要になるでしょう。
では、「終活」では具体的にどのようなテーマを取り上げ、どのように希望を記しておくべきなのでしょうか。
終活で決めておくべきこと
終活では主に、生前の生活支援・介護支援、身元保証サービスの利用、死後の葬送支援や相続への対応などについて決めておくことが大切です。
医療・介護支援について
おひとりさまであるということは、自分の体の自由が効かなくなったときや認知症などになったとき、助けてくれる家族・親族がいないということでもあります。そこで、元気なうちから高齢者向け施設を選んでおき、終末医療を受ける際の意思表示の仕方についても明確にしておくことが求められます。また、任意後見制度を利用し、自分の判断能力が著しく低下した場合の財産管理について任せることも必要です。
身元保証サービスの利用について
おひとりさまの課題の1つは、入院時や施設入居時に求められる身元保証人を用意できない点にあるといえます。そこで検討したいのが身元保証サービスの利用です。民間企業やNPO、一般社団法人などが提供する同サービスにより、身元保証人としての役割を依頼することができます。
身元保証サービスを利用した場合、緊急連絡先・入院費や施設利用料の支払い実行といった役割だけではなく、後述する葬送支援や遺言書に基づく相続手続き支援なども任せることができるので、検討の対象に入れておくといいでしょう。
葬送支援について
自分が亡くなったときはどのような葬儀を執り行って欲しいか、誰を読んで欲しいか、どこに納骨して欲しいか、といった希望も明らかにしておくことが大切です。ただし、おひとりさまの場合は死後の葬送支援を依頼できる人物がいないことから、行政書士などの専門家と死後事務委任契約(死後に発生するさまざまな事務手続きを委託できる契約)を締結しておく必要があるでしょう。
遺言書について
遺言書は、死後の遺産分配について意思表示を行うための重要な手段です。まずは自身が所有するすべての財産(預貯金や不動産などプラスの財産+借金などマイナスの財産)を把握したうえで、死後どのようにしたいかを明確にしておくことが大切です。
おひとりさまの場合は相続人不在であることを確認したうえで、お世話になった人や活動を応援したい団体などへ遺贈することも検討してみましょう。
なお、法的に有効な遺言書を作成するためには、行政書士など専門家による監修を受けることをお勧めします。
まとめ
おひとりさまであるということは、生前・死後ともに自分を支援してくれる存在を確保しておくことがとても大切です。たとえば身元保証サービスを利用した場合、生前には身元保証人代行や財産管理など生きていくうえで必要な支援を受けることができ、死後には葬儀や納骨、遺品整理といった葬送支援を受けることが可能です。
老後や死後について不安を抱えている場合は、年齢に関わらず早めに対策を講じておくと安心して過ごすことができるでしょう。当行政書士事務所は、身元保証サービスを手掛ける「いきいきライフ協会札幌」の法律支援を担っておりますので、ご不明な点などがありましたらぜひ無料相談をご利用ください。