老後の生活拠点として老人ホームを想定している人は少なくありません。特に、頼れる人がいない高齢者などにとっては、いかに安心できる老人ホームに入居できるかは重要問題です。
ここでは、終活における老人ホームの選び方について説明していきます。
老人ホームの種類と選び方
老人ホームは、民間が運営している施設と自治体が運営している施設とに分かれます。それぞれの種類と特徴について整理していきましょう。
【1】民間の老人ホーム
民間企業や団体などが運営する老人ホームとして、主に以下を挙げることができます。
グループホーム
グループホームは、認知症の方を中心におおむね5〜9人の少人数で共同生活を送りながら、介護スタッフの支援を受ける施設です。家庭的な環境で生活できるため、住み慣れた家に近い雰囲気の中で安心して暮らせます。認知症の進行を緩やかにする効果が期待できるほか、仲間との交流を通して孤立を防ぐ効果も期待されます。
なお、入所には、基本的に認知症の診断が必要で、施設内で受けられる医療的ケアも限定的である点を理解しておきましょう。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、介護が必要な高齢者全般を対象とした施設です。介護スタッフが24時間常駐し、食事や入浴、排せつなど日常生活全般の介助を受けられます。介護が手厚く安心して長期的に暮らせる環境にあり、要介護度が進んでも住み続けやすいといえるでしょう。
ただし、介護サービスが充実している分、利用料は比較的高額になりやすいです。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、比較的自立している高齢者を対象に、食事や掃除、洗濯といった生活支援サービスを受けられる施設です。介護は外部の訪問介護サービスを契約して利用します。生活のサポートを受けながら、自分のペースで暮らせるため、まだ元気な高齢者に向いているでしょう。
介護度が上がると外部サービスの利用が増え、結果的に費用がかさむ場合があります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、自立できる高齢者から軽度の介護が必要な高齢者まで比較的幅広く利用できる施設です。バリアフリー設計の賃貸住宅の形をとっており、安否確認や生活相談などの基本サービスが付いています。介護が必要になれば外部の介護サービスを利用できます。
自宅のような自由な暮らしと見守り体制の両方を確保できるので、安心して暮らすことができるでしょう。費用は有料老人ホームより抑えられる場合が多いです。ただし、介護サービスは別契約のため、重度介護には向かず、介護度が高まった場合は転居が必要になるケースもあります。
【2】自治体(公営)の老人ホーム
自治体などが運営する公営老人ホームには、次のような種類があります。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)
ケアハウスは、自宅での生活が困難になった、原則60歳以上の高齢者を対象にした施設です。食事の提供や生活相談などの支援を受けることができ、介護が必要になった場合は外部の介護サービスを利用する仕組みになっています。公営のため費用が比較的安い点も注目すべきでしょう。
ただし、ケアハウスでは医療や介護の体制は整っていないため、介護度が高くなると転居が必要になるケースがあります。
介護医療院
介護医療院は、要介護認定を受け医療的なケアを継続的に要する高齢者を対象とした「介護と医療の両方を提供する長期療養型の施設」です。2018年から新しく創設された施設形態で、療養病床に代わる役割を担っています。
施設内では、点滴・胃ろう・喀痰吸引など医療処置を受けながら、日常生活の介護も受けることができますので、終の棲家として利用する方もみられます。ただし、医療・介護を重視した施設であるため、在宅復帰を目指すというよりは、長期療養を目的として検討した方がいいでしょう。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)は、「病院を退院した後で在宅復帰を目指す要介護者」などを対象とした施設です。
医師・看護師・リハビリスタッフが配置され、心身機能の回復を支援しており、自宅での生活に復帰に戻ることを目的に、リハビリ・生活訓練・医療ケアを行います。また、短期入所(ショートステイ)としても利用可能です。
あくまで「在宅復帰を目指す」施設のため、長期的な入所は想定されていません。回復の状況に応じて在宅や他施設への移行が必要になります。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上の高齢者(原則)を対象とした施設です。生活全般の介護(食事・入浴・排せつなど)や機能訓練、医療的ケアを長期的に受けられる点が特徴的で、かつ公的な施設のため費用が比較的安価です。
人気が高い施設であるため入所待機者が多い地域もあります。また医療体制は限定的なため、重度の医療ニーズがある方は特別養護老人ホーム以外の選択肢も検討してみましょう。
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老人ホーム選びの流れ
老人ホームを選ぶ際は、以下のように順を追って決めていくといいでしょう。
1.入居目的を明確にする
介護施設に入ることを希望するか、リハビリなどをメインとして在宅復帰することを希望するかなど、入居目的を明確にします。これから先の暮らしで重要になる事柄は何なのかリストアップしたうえで、最も優先したい環境を選択することをお勧めします。
2.入居時期を明確にする
元気なうちから入居するか、認知症になったときに入居したいのかなど、どの時点から老人ホームでの生活を開始するかも決めておきましょう。タイミングを明確にしておくことで、適切な時期に求めるサービスを受けられるようになります。金銭的な準備期間を計算に入れておくことも大切です。
3.条件に合った施設を探す
ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談したり老人ホームから資料を取り寄せたりして、自分が求める条件を満たす施設を探します。
4.見学する
いくつか候補が決まったら、実際に老人ホームまで見学に行ってみましょう。資料や電話口の話だけではわからないことがたくさんあります。ホームの雰囲気やスタッフの対応、入居者の様子など、現場で直接感じ取ることも大切です。
施設によっては体験入居が可能なところもありますので、有効に活用してみましょう。
老人ホーム入居時は「身元保証人」の用意を
老人ホーム入居契約時には、身元保証人を付けることが求められます。身元保証人を付けることで、緊急時の連絡先を確保したり施設利用料の遅滞を防止したりできるため、入居を検討している場合はまず身元保証人となる人を決定しておかなければいけません。
家族や親族が身元保証人を務めてくれる場合を除き、問題となるのは身寄りのない高齢者のケースです。頼れる人がいないことから身元保証人を用意できず、老人ホームと契約できないリスクが生じるからです。
老人ホーム利用には「身元保証サービス」の検討も
身寄りがない高齢者にとって心強い存在となるのが、身元保証人ほか老後の生活に必要な支援をしてくれる身元保証サービス会社(団体)です。サービスを提供する企業・団体によって受けられる支援内容が変わってきますので、いくつか候補を挙げて実際に話を聞いてみることをお勧めします。
弊社がおすすめする身元保証サービス
当行政書士事務所は、「いきいきライフ協会札幌」の法律支援を行っております。同協会による支援内容として以下の業務を挙げることができます。
- 身元保証人の引受
- 介護を除く生活支援
- 財産管理契約の受任者引受
- 死後事務委任契約の受任者引受
- 遺言執行者の引受
- 各契約書の公正証書作成手続き
このほかにも、身元保証業務に関連する以下事業者などと連携し、総合的なサポートを行うことが可能です。
- 葬儀社
- 遺品整理業者
- 介護施設・病院
- 士業
- 不動産業者
- 保険会社
- 金融機関 など
ご不安・ご不明な点がある場合はぜひ無料相談をご利用ください。
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まとめ
老人ホームを選ぶ時は、自分自身の希望を明確にし、実際に現地を観察したうえで最終的な選択を行うことをお勧めします。
老人ホーム選びと並行して進めておきたいのが、身元保証サービスの利用検討です。入居契約の段階になって初めて身元保証人の問題に直面すると、せっかく描いていた今後の生活計画をもう一度練り直す必要が生じるからです。
当事務所行政書士は「身元保証診断士1級」の有資格者であり、身元保証サービスおよび関連事務についてさまざまなケースに対応してまいりました。丁寧にお話をうかがい助言させていただきますので、ご安心のうえお問い合わせください。









